DXと働き方改革の関連性とは?実現した事例も紹介
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革する取り組みを指します。
一方、働き方改革は、労働時間の短縮や柔軟な働き方の導入を通じて、従業員のワークライフバランスを改善することや生産性を向上させることを目指している施策です。
この2つの概念を統合して考えると、デジタル技術を活用した業務や組織風土を変革し、生産性を向上させることでワークライフバランスを改善するという道筋が見えてきますので、関係性が高いと考えられます。
例えば、少人数の組織でもクラウドツールを導入すれば、費用を抑えて業務効率化や柔軟な働き方が実現する可能性があります。
今回は、DXを通じて働き方改革を進める方法と、その成功事例を紹介します。
小規模な組織でも比較的始めやすい方法を取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
DXが中小企業の働き方改革を支える理由
中小企業は大企業に比べて、限られた人材や資金で経営していく必要があり、効率的な運営が求められます。DXは、まさにその効率化を実現する強力な手段となります。
人手不足への対策ができる
昨今、人手不足に悩む企業が多いです。クラウド型の業務管理ツールは月額数千円で導入できるものもあるため、安価で大幅な時間短縮につながる可能性もあります。
業務にかかる時間を短縮できれば、リソースが空く社員が出てくると思います。リソースが空いた社員をボトルネックとなっている箇所にヘルプで充てられれば人手不足への対策ができるでしょう。
会社によっては業務横断型の働き方の文化がないかもしれませんが、組織風土の変革はDXの中でも触れられてる上に、激化する採用競争で採用しようとするより短期で解決できる可能性が高いと考えられます。
従業員満足度が向上する可能性がある
働き方改革によって、脚光を浴び始めているのが従業員満足度です。生産性にも高い関係があると言われています。
勤怠管理の可視化やリモートワークを導入すれば、従業員の過剰なストレスになる前に防ぐことができ、従業員満足度も向上するでしょう。
さらに、上記の人手不足と重複する部分がありますが、空いたリソースで1on1などの双方向コミュニケーションの機会を増やすことができれば、上長が潜在的な従業員満足度を把握できるようになります。
デジタル技術による勤怠管理と、組織風土の変革による双方向のコミュニケーションを駆使すれば、従業員満足度を向上させ、生産性を上げるだけでなく離職を防ぐことにも繋がる可能性があります。
実現した事例紹介
DXと働き方改革が結びついた成功事例を見ることで、その効果をイメージしやすくなるでしょう。
ここでは、DXを活用して働き方改革を実現した2つの企業の事例を紹介します。
事例1:DXによる人材育成
あるIT企業では、急速に変化する市場ニーズに対応するため、人材育成にDXを取り入れました。DXの人材育成が必要とされる中、逆転の発想ができたのです。
特に、オンライン学習プラットフォームを活用したスキルアップ支援を推進しました。
具体的には、社員が自由に利用できるオンラインでのラーニングセットを作りました。その上で、従業員の学習データを分析し、社員のキャリア形成を支援する制度を作ったのです。
「IT企業だからできるのでは」と思われるかもしれませんが、使用したのはGoogleフォームという0円の簡単なツールです。オンラインアンケートなどで回答した経験のある方も多いのではないでしょうか。
フォームの回答データを分析し、各従業員の強み弱みを特定、配置を少し転換したことで、イノベーションを生む組織文化が醸成されました。
事例2:リモートワークによる従業員満足度の向上
ある企業の営業の部署では、コロナ禍を契機に全面的なリモートワークの導入を進めざるを得ませんでした。同様の経験をした方も多いと思いますが、リモートでの営業は対面とは違った難しさがあります。
そこでその企業では、背景を親しみやすい画像に変更する、カメラの画角を最適化するなど、リモートならではのブランディングの研究に力を入れました。
最初こそ苦戦したものの、オンラインミーティングが当然のようになった現在ではむしろ高い評価を受けることが多くなりました。
この企業の成功要因は、単なるオンラインミーティングの導入だけでなく、メリット・デメリットを洗い出し、従業員からの意見も取り入れつつも、オンラインミーティングでのブランディング手法に注力したことです。
DXを成功させるためのポイント
上記の事例でも見えますが、DXを活用して働き方改革を成功させるには、単に技術を導入するだけでは不十分です。
DXを組織全体に浸透させるためには、文化や働き方そのものを見直し、持続可能な形で変革を進める必要があります。
ここでは、DXを成功に導くための重要なポイントを紹介します。
技術導入だけでなく文化の変革を意識する
DXは定義にもあるように、従来の業務プロセスや組織文化の変革も必要です。
しかし、この変革を推進するためには、企業文化や従業員の意識を変える取り組みが不可欠です。
一例として以下のような施策が考えられます。
・変化への抵抗を軽減する:従業員の中には、新しい技術やプロセスに対して抵抗感を持つ人も多くいらっしゃいます。デジタル技術の導入も必要ですが、従業員のストレスにならないよう、調整しながら段階的に導入を進めることが重要です。
・マネジメントと現場の双方向コミュニケーション:トップマネジメント、ミドルマネジメントにあたる役職者のリーダーシップと、現場からのフィードバックを組み合わせて進めることで、組織全体の協力を得られます。現場から正直な意見を取り上げるために「上から下」の関係に頼りきらず、双方向でコミュニケーションができるような文化の醸成が必要です。
従業員のスキルアップとリスキリングを支援する
新しい技術やツールの導入には、それを活用するためのスキルが必要です。
従業員が新しいスキルを習得し、DXのメリットを最大限に引き出せるようにするためには、例えば以下の取り組みが有効です。
・教育制度の導入:社内外のリソースを活用した教育制度を活用します。特に、以前紹介した「DXリテラシー標準」は全員が身につける必要があります。
・OJTの実施:実務を通じて新しいスキルを学ぶ機会を提供することで、習得スピードを上げられます。
適切な施策や計画を策定する
DXにおける失敗の多くは、導入前のオーバープランニングにより進まないことです。
進まなければ何が正解かもわからないので、許容範囲で失敗していいように以下の点に注意しましょう。
・現場のニーズと評価を参考にする:現場の課題や要求に基づいて、必要なツールを選定します。その際に無料トライアルで実際に現場で触ってみたり、口コミやレビューを参考にしてなるべくコストがかからないように選定しましょう。
・小規模な試験運用から始める:いきなり全社的に導入するのではなく、小規模なプロジェクトで試験運用を行い、その効果を確認しましょう。
継続的な取り組みを重視する
DXは一度きりのプロジェクトではなく、継続的な改善活動として進める必要があります。環境や技術が進化する中で、柔軟に対応することが求められます。
以下のような手法をとることをおすすめします。
・PDCAサイクルを活用:PDCAを繰り返し、プロセスを最適化します。企業文化によってはPDR(準備・実行・評価)やDCAP(実行・評価・行動・計画)といったサイクルに挑戦してみてもいいかもしれません。
・継続的なデータ分析:DXと聞くとデジタル技術に焦点が当たりがちですが、データの活用も大切です。業務データや従業員のフィードバックを収集し、分析しながら次の改善施策を考えましょう。
コミュニケーションの強化
DXの導入過程では、社内のコミュニケーションを強化することが重要です。コミュニケーションの活性化により思いもよらないアイデアが浮かぶ可能性もあります。
一例として以下のようなことが挙げられます。
・成功事例を共有する機会を作る:他部署や他企業での成功事例を共有することで、従業員にDXのメリットを実感してもらいます。
・疑問や不安に対応する窓口の設置:従業員がDXに関する疑問を解消しやすいよう、専用の窓口やサポートチームを設けることも心理的安全性の担保のためには重要です。
まとめ
DXを成功させるには、テクノロジーだけでなく、人的要因や組織文化の変革が不可欠です。これらを統合的に進めることで、DXが働き方改革を後押しし、持続可能な成長へとつながります。
DXと働き方改革は、中小企業にとっても十分に実現可能な取り組みです。DXの技術を活用することで、業務効率化やコスト削減を達成し、従業員の負担軽減や働きやすい環境を提供することができます。
「うちの会社には難しい」と感じることはあるかもしれませんが、スモールスタートで取り組むことで、着実に成果を得ることができるでしょう。