身近な活用事例から見るDX推進を成功させる方法

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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、簡単に言うと「デジタル技術を駆使して、変化するニーズに対応するために、ビジネスモデルや業務プロセスを革新し、優位に立つこと」を意味します。

DXという言葉を耳にしたことがあっても、その具体的な事例や影響については意外と知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、DXの身近な事例を紹介しますので、ぜひご参考になさってください。
おそらく皆様が思っているよりDXの事例は多いです。ご自身の業種で展開できそうな事例があれば幸いです。

生活にも関わるDXの身近な事例

上述したように、DXは生活に浸透しているものもあります。
ここでは、おそらく多くの方が「消費者」や「利用者」として半ば無意識に関わっているであろうDXの事例をご紹介します。

なお、デジタル化と区別するために、以下の4要素を全て含むことをDXの最低限の定義とします。

・顧客や社会のニーズに対応
・データとデジタル技術を活用
・製品やサービス、ビジネスモデルの変革
・業務や組織、プロセス、企業文化・風土の変革

あくまで「身近」なものを紹介しますので、IoTやRPAなどの難しい用語は使わないようにします。

スマホ決済

顧客や社会のニーズに対応

現金を持ち歩く煩わしさや、盗難・紛失のリスクを軽減したいというニーズに対応しています。

データとデジタル技術を活用

スマートフォンのNFC機能やQRコード、生体認証などの技術を活用し、安全かつスピーディーな決済を実現するだけでなく、マーケティングのデータ収集やサービス改善にも活用されます。

製品やサービス、ビジネスモデルの変革

現金決済中心のビジネスモデルから、キャッシュレス決済を軸とした新たなビジネスモデルへと変革しています。

業務や組織、プロセス、企業文化・風土の変革

現金管理やレジ締め業務の効率化、不正防止対策の強化など、実店舗型ビジネスの変革を実現しました。

電子書籍

顧客や社会のニーズに対応

保管場所の確保や、外で読みたいのに持ち歩くのが荷物になってしまうのを防ぎたいというニーズに対応しています。

データとデジタル技術を活用

スマートフォンの技術を活用することで、荷物が増えることを防いでいます
さらに、書籍の購入データは、他のおすすめの書籍を紹介することに活用されています。

製品やサービス、ビジネスモデルの変革

物理的なメディア販売から、オンラインでのサービスに転換しました。
さらに、サブスクリプション型サービスへとビジネスモデルを転換することも実現しています。

業務や組織、プロセス、企業文化・風土の変革

書籍の購入データ分析に基づいたおすすめ機能など、出版業界、書店の業務の変革を成し遂げました。

フードデリバリー

顧客や社会のニーズに対応

忙しくて外出を控えたい方だけでなく、高齢者や子育て世帯など、外出が困難な人々にとっても、必要な食料品や日用品をお家で受け取りたいというニーズに応えています。

データとデジタル技術を活用

スマートフォンアプリやGPSなどを活用し、注文から配達までを、リアルタイムで見ることができるようにして、ちゃんと届くのかという不安にも対応しています。

製品やサービス、ビジネスモデルの変革

飲食店にとっては、デリバリー専門の「ゴーストレストラン」のような新たな業態を生み出すきっかけとなりました。
イートインだけで営業していた飲食店に対しても、デリバリー、テイクアウトという新たな販路拡大に繋がりました。

業務や組織、プロセス、企業文化・風土の変革

飲食店は、調理と配達を分離し、デリバリーも考慮したオペレーションを構築する必要が出てきました。

ビジネス面での身近なDXの事例

上記の生活面でのDXの事例を見て、意外と身近にあるということがお伝えできれば幸いです。
次にビジネス面での身近なDXの事例を紹介していきます。

オンライン会議

顧客や社会のニーズに対応
移動時間やコストを削減し、より効率的なコミュニケーションを実現したいというニーズに応えています。

データとデジタル技術を活用

インターネット回線やビデオ通話技術、画面共有機能などを活用し、遠隔地にいる相手とリアルタイムでコミュニケーションを取れるようにしています。
さらには、会議の録画や議事録作成の自動化など、業務効率化にも貢献しています。

製品やサービス、ビジネスモデルの変革

対面での会議が主流だったビジネスモデルから、オンラインでのコミュニケーションを前提とした新たなビジネスモデルへ変革が見られます。
さらに活用している方ですと、オンラインの方が良い場合とオフラインの方が良い場合で使い分けるなど戦略を持って活用もしています。

業務や組織、プロセス、企業文化・風土の変革

場所や時間にとらわれない働き方を促進し、多様な人材の活用や、グローバルな協業を可能にしています。

クラウドストレージ(ネット上のデータ保管)

顧客や社会のニーズに対応

大容量のデータの保存や共有をしながらもデータ保管をしたいというニーズに応えています。

データとデジタル技術を活用

インターネット上の技術を活用し、USBやSDカードなどといった物理的なストレージデバイスがなくても、安全なデータ保管と共有を実現しています。

製品やサービス、ビジネスモデルの変革

物理的なストレージデバイスの販売から、クラウド上のストレージスペースを従量課金で提供するサブスクリプション型サービスへとビジネスモデルを転換しています。

業務や組織、プロセス、企業文化・風土の変革

ファイル共有や共同作業が容易になり、データ管理やバックアップの手間が軽減されたため、よりコアな業務に割く時間を増やすことができています。

DXのようでなくても身近に浸透している

上述したような例は、最初こそ戸惑ったかもしれませんが、今では当たり前な光景となっています。ご自分では使っていなくても、知り合いの誰かは使っているようなものばかりではないでしょうか。

もはやこんなものがDXでいいのかと思っている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、生活や仕事に馴染んでいるということは、DXの成功事例と言えます。

そのように考えれば、身近なものの中にヒントがありそうな気がするのではないでしょうか。

身近な事例から見るDX推進の方法

これらの身近なDX事例から、DX推進の考え方やアプローチ方法を学んだり、考察したりすることができます。

顧客や社会のニーズを起点に考える

DXは、単に新しい技術を導入することが目的ではなく、顧客や社会が抱える課題やニーズを深く理解し、それらに応える形でデジタル技術を活用することが重要です。

そのためには、社会の変化を敏感に察知し、顧客の声に耳を傾けることが自然とできていることが必要です。

データとデジタル技術が活用できないか考える

DXの推進は、その定義上、データとデジタル技術の活用が不可欠です。

顧客や社会のニーズと同じぐらい、どのような技術があるのかに関心を持つことが重要です。

ニーズを察知できても改善可能かどうかの判断ができなくなるためです。

最新のデジタル技術を使いこなすようなスキルは、技術者でない限りすぐには身につけられないと思いますが「現実的にどんなことができるのか」に関しての知識は必要です。

製品・サービス・ビジネスモデルを変革する

顧客・社会のニーズとデジタル技術がマッチしそうなものがあれば、製品やサービス、ビジネスモデルの変革に踏み切る番です。

と言いつつ、いきなり全部を変えてしまうと、それはリスクになるので、小規模なものから実験的な小さな変化を進めてみてテストをし、うまくいきそうであれば進めるというのが現実的な進め方です。

業務・プロセス・組織文化や風土の変革

業務やプロセスは技術やニーズが先行するため、必然的に変化せざると得ないところがありますが、組織文化・風土に関しては、変えるのがなかなか難しいところがあると思います。

そこで、変革の方向性について紹介しますと、以下のような文化・風土になるように変えていくことが大切です。

社員育成の文化

DXに技術的に携わる方は上記の「現実的にどんなことができるのか」という知識だけでなく、扱い方やメリット・デメリット、コストなどの知識も必要です。

社員研修や外部セミナーなどを活用し、DXに必要なスキルや知識を習得できる機会を提供しましょう。

双方向コミュニケーション

上司・部下の関係が強すぎると、部下側にいいアイデアがあっても口に出しません。一方的なコミュニケーションではなく、双方向で気持ちの良いコミュニケーションができる文化が必要です。

さらに、部署間の垣根を越えたオープンなコミュニケーションができれば、新しいアイデアがより生まれやすくなるでしょう。

失敗を恐れず挑戦する文化

新しいことをする以上、失敗する可能性の方が高いかと思います。
そのため、スモールスタートをおすすめしているのですが、それでも失敗してしまうと意気消沈してしまう方も多くいらっしゃると思います。

失敗しただけで辛いのに、その上に失敗で後ろ指さされるような文化だと誰も挑戦しません。
失敗した人の意見はかなり重要です。失敗から学び、改善して再挑戦する文化を醸成しましょう。

まとめ

DXと聞くと、IoTやRPAやAIなどのもっと専門的な単語が出てきてどうすれば良いかわからなくなってしまう方も多いと思い、身近な事例を紹介しました。

DXを難しいものと捉えずに、こんなに生活に密着しているものなんだと感じていただければ幸いです。

また、あくまで顧客や社会のニーズがあって成り立つものであることと、組織文化の変化の方向性が特に大事になってきますので、情報のキャッチアップと、立場の垣根を超えた社内への共有を推奨していきましょう。